【展示レポート】『LOVE ファッション−私を着がえるとき』 ファッション×アート×文学から、私たち人間の「装うこと」への願望や情熱を考察する
その後、家族や友人などに文字を書いてもらい、同じ手法でシリーズ化している、その出発点となった作品だ。

横山奈美《LOVE》2018年。左は作者
Chapter 1.「自然にかえりたい」では、自然を素材とし、モチーフとしたファッションを紹介。「花柄」をあしらった18世紀ヨーロッパの貴族のスーツから現代のドレスまでが並ぶ。また、防寒や手触りを求めて、最初に服に使用された自然素材とされる「毛皮」に焦点を当て、動物保護の観点からやがてフェイクファーが流行する変遷をたどる。かつて流行した珍しい鳥の羽や剥製による装飾を用いた帽子も展示。筆者は、自然に対する憧れが、いつしか権威の誇示や競争心へと変質する危うさも感じた。

18世紀ヨーロッパ貴族のスーツやドレス(左2点)ほか、花柄の服を展示。

毛皮からフェイクファーへの移行を展示。

壁面には、鳥の羽などをあしらった帽子の数々。左は、三つ編みされた人毛をつないだ、小谷元彦《ダブル・エッジド・オヴ・ソウト(ドレス2)》1997年
Chapter 2.「きれいになりたい」では、19世紀のコルセットに始まり、その美意識を受けたディオールやバレンシアガなどのオートクチュールを展示。