【展示レポート】『LOVE ファッション−私を着がえるとき』 ファッション×アート×文学から、私たち人間の「装うこと」への願望や情熱を考察する
そうした欲望を加速化するかのように、アーティストのシルヴィ・フルーリーによる、消費をテーマとした試着室や鏡のインスタレーションが設置されている。一方で、社会的に作られる「美」にあらがい、パッドを自由に動かし個性的な美を創出するコム・デ・ギャルソン/川久保玲の代表作、通称“こぶドレス”がたたずむ。

バレンシアガ、クリスチャン・ディオールのイヴニング・ドレスなどを展示。

シルヴィ・フルーリー《No Man’s Time》2023年

コム・デ・ギャルソン/川久保玲ドレス1997年春夏
こうした個人への意識が始まる中、Chapter 3.「ありのままでいたい」ではルッキズムの問題も加わる。日常風景や友人たちを捉えたウォルフガング・ティルマンスの写真群。異なるサイズの身体を包括するように、いかなる体型にもフィットするネンシ・ドジョカのドレスが、私たちをエンパワメントする。

ウォルフガング・ティルマンス《Kyoto Installation 1988-1999》2000年

左からジヴァンシー/アレキサンダー・マックイーン、ゴルチエ・パリ・バイ・サカイのアンサンブル、ネンシ・ドジョカのドレス

ヘルムート・ラングのミニマルなファッション
さらに、同世代の女性へのインタビューをもとに、その日常と内面を描き出した松川朋奈の絵画を展示。